2014年1月21日火曜日

工場見学①

皆様お久しぶりです。あけましておめでとうございます!
4年生が卒論でやられていたため、活動が途切れていた田中ゼミですが、
新年からまたリスタートいたしました!!ぱちぱち

さて、田中ゼミは、例年年明けに「工場見学」という名の現地見学を実施しています。
行き先はゼミのテーマによって変わるので、毎回バラバラですが、
今年は「「経済発展と労働の変容」というテーマの沿って、2日間の日程で見学場所を決めました。

今回は1月17日に行われた1日目のレポートです!



①首都圏青年ユニオン

みなさんは「ユニオン」というものをご存じだろうか?
ユニオンとは、従業員が所属している企業を問わず、個人単位で加盟できる労働組合のことである。ユニオンは、従来型の企業別労働組合とは違い、複数の企業や異業種の企業の労働者が、その構成メンバーとなっている。
今回はその中でも首都圏を中心に、主に若者の労働問題に当たるユニオンである、首都圏青年ユニオンを訪ねた。今回お話をしてくださったのは、首都圏青年ユニオン事務局次長の神部紅(じんぶ あかい)さんだ。

一見優しそうなお兄さんのような風貌であるが、その口調とまなざしには、まっすぐと現代の若者が抱える労働問題の解決を目指す意志が感じられた。神部さんは、学生時代より自主的にユニオンを結成し、路上生活者や若者ホームレスの支援を行ってきた。

神部さんの話から、労働問題だけを解決するのではなく、相談者一人一人が安心して暮らしていける状態を目指し、生活の問題にも取り組む姿勢が垣間見られた。また、ユニオンはただ単に個人の労働問題の解決を目指すだけではなく、その会社自体にも働きかけ、最終的に社会全体を変革しようという意志を持っており、なによりそのフットワークの軽さと積極性には、ただただ脱帽してしまった。



企業内の労組は、会社の息がかかっていることも多く、根本的な問題の解決に結びつかない場合もある。ユニオンは、2人からでもだれでも結成できる労働組合という点をより社会的に認知させ、多くの人に「泣き寝入り」で終わるのではなく、相談者が納得できる解決方法を提示している。

ユニオンの運営費用は、組合員による会費と「支える会」による寄付によってまかなわれている。しかし、その額は決して多いとは言えず、ユニオンで働く職員はほぼボランティアも同然だ。「決して長くは続かない」と神部さんが言うように、運営母体の脆弱さが組織のネックになっている。また、その社会的な認知度は高いとは言えず、活動実態も知られていないのが現状だ。その上、特に若年層に根付いた「労組」に対するマイナスのイメージが、ユニオンを遠い存在にしてしまっているのかもしれない。

ゼミメンバーの中でも4人が今年の4月から社会人となる。もちろんそのような事態がないのがベストではあるが、万が一自分の働く現場で問題が起きた時、ユニオンの存在は大きな助けになるのではないかと感じた。





②NPO法人POSSE

次に一行が向かったのは、下北沢にある何の変哲もない地域の集会所。
しかしそこでは連日、 業種・職種を問わず様々な労働現場からのリアルな相談が、電話を介して行われている。

そう、この訪問の目的は、先日の筑波大学学園祭での田中ゼミ企画、「働く現場のリアル」でお招きした、川村遼平さんが事務局長を務めるNPO法人POSSEの実際の活動を見せていただくためである。

先日の講演会の様子はこちら。


今回説明をしてくださったのは、POSSEメンバーである佐藤さんと今岡さんである。
今回は2班に別れ、今岡さんが生活相談、佐藤さんが労働相談にのることとなった。
佐藤学さんはPOSSEでの活動を始めて5年目であり、

就活中にリーマン・ショック下で自分だけ勝っておかしい状況を野放しにしたくないという気持ちから、大学三年時に派遣村でボランティアを行い、そこで得た経験が大きな理由となり、教員として2年間勤めたあと、POSSEと大学院に戻ったのだという。

POSSEには最近では年間1000件以上の相談の電話が鳴るという。その数は年々増えてきており、今年度はすでに1500件を超えている。そのすべてに対し、取りこぼすことなく応じることは難しく、とることができなかった相談の電話に対しては、折り返しの電話で対応している。今回は、その折り返しによる電話相談の一部始終を見せていただいた。

詳しい相談の内容は割愛させていただくが、実際の相談の様子を自分の目で見ることは、本や映像でしかその実態を知らなかった、労働問題に取り組む現場のリアルをまざまざと見せつけられ、驚きを感じるとともに、やはり労働世界に近接してきているとはいえ、1年を通して学んできた自分たちには、ある程度労働問題について知っているという自負があったが、それが見事に崩された。


NPO法人であるPOSSEは、相談員として働くメンバーに報酬は支払っていない。つまり相談員は完全なるボランティアで活動を行っているのである。それでも、電話やメールを通して相談をしてきた人たちに的確なアドバイスや提案をするためには、労働に関する法律をはじめとした莫大な知識が必要となるため、常に勉強は欠かせないという。


労働組合は現在機能しているとは言えない。現在その組織率は18%弱だが、そこには企業内労組を含む実行力を持っていない組織が多いとかんがえられる。中には「連帯」などの実効性を持った業種別組合も存在するが、まだその数は少ないのだ。



また、もし団交権で労働争議に勝ったとしても、人間関係などの面で、以前通りに職場に戻って働くのは難しい。これに対しては、労組を会社に根付かせることが最も肝要であると、佐藤さんは語った。


今、劣悪な労働環境を強いられている人から寄せられる相談の多くは、解決する場合が多いという。問題は、争えば勝てるが、争わない人が多いという点である。現代では、正社員・非正規・バイトという勤務形態にかかわらず、「ブラック」な会社が増えているのが現実だ。「労組」が持つなんとなく「近寄りがたい」イメージを払拭し、健全な労働世界を構築する「将来の目」を育成していくかが課題となるだろうと思った。





(文責:からさわ)




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